3本足の蛙@吉野

 2007年4月下旬に、奈良県吉野町を訪ねました。桜の見ごろは過ぎており、新緑の季節になっていました。桜の木を彫って造った3本足の蛙が薬屋さんにあると聞き、吉野山中腹の中千本を目指します。

3本足の蛙
Fig. 1 3本足の蛙

 吉野といえば毎年春に咲き誇る桜が有名ですが、7世紀に役行者(えんのぎょうじゃ)が桜の木に蔵王権現像を彫った事に由来するそう。彼が開いた金峯山寺は現在も吉野山の中腹にあります。

 近鉄奈良駅から近鉄奈良線に乗り、2回乗り換え(大和西大寺・橿原神宮前)て1時間30分程で吉野駅に到着、さらにバスに乗り継ぎ目的地付近に着きます。金峯山寺蔵王堂から山頂方面へ50 m程進んだところに「フジイ陀羅尼助丸」で有名な藤井利三郎薬房がありました。

 黒塗りの古めかしい建物が歴史を感じさせます。店内に入ると、2体の蛙が出迎えてくれます。ところどころ白く塗られた全長60cm程のと、全体的に赤みがった全長1m程の蛙(Fig.1)です。これらの蛙は一風変わっていて、前足2本、後足1本の合計3本しか足がありません。江戸時代から受け継がれていて、一説によれば「三本足(=二本足と杖)で歩く吉野の参詣者の姿」をあらわしているとの事。

吉野温泉元湯
Fig. 2 吉野温泉元湯
 薬房を見学後、細い山道を10分程歩いて下り吉野温泉元湯に向かいました。旅館ですが事前予約すると日帰り入浴(700円)も可能です。

 玄関から1階降りたところに温泉(Fig.2)があり浴槽・浴室ともにやや狭いですが、窓の外には吉野山麓の緑が広がります。ちょっと温めのにごり湯につかりながらぼんやりと外の景色を眺めていると、なんともいえず落ち着きます。

 古くは飛鳥時代から皇族・貴族達の離宮として栄えた吉野は、旅人に優しい土地でもありました。日頃忙しい生活に疲れた際に、訪ねてみてはいかがでしょうか?

藤井利三郎薬房 吉野町吉野山2413 07463-2-3025
吉野温泉元湯 吉野町吉野山902-1 0746-32-3061


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