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2020年8月下旬に、福井県越前市を訪れました。JR北陸本線武生(たけふ)駅の南西にある寺院で出会った蛙を紹介します。
大阪駅からJR東海道本線、JR湖西線を乗り継ぎ、約3時間で武生駅に到着。途中、穏やかな水をたたえる琵琶湖と青々とした木々が茂る比叡の山々を車窓から眺めることができました。 武生はかつて越前の国府が置かれ、後に加賀百万石の城主となる前田氏が武生城を築きました。現在、城郭や石垣は残っていませんが、街中には歴史を感じさせる洋風建築や寺院が多く残されています。 永平寺の開祖、道元の孫弟子にあたる正祖が創立した宝円(ほうえん)寺も、戦火による全焼の後、前田利家により再興されました。以前から建つ木造の山門や本殿と、近年設置された人や動物の石像が、広大な境内で調和します。
蛙の石像(Fig. 3、Fig. 4)は山門を入った本堂が建つ伽藍の中に置かれ、「あの世に無事帰る」という願いが込められているそう。その数は50以上もあり、その中で最も印象に残ったのは本殿の前で腕を組み、腰をかける人間に似た姿をした石蛙(Fig. 1)。 まさに極楽浄土に向かう人々を迎え入れようとするかのよう。その左側で肩車をしながら「おいでおいで」をする石蛙(Fig. 2)もいます。 人は誰しもいつかはその生涯を終えますが、存在がなくなる訳ではなく先人達が待つあの世に帰るのだと考えると、幾分不安が柔らぎました。
宝円寺 越前市高瀬1-25-4 |