港町浦賀散策

 2018年9月中旬に、神奈川県横須賀市浦賀を訪れました。細く、鋭く切り込んだ港の形状を生かし、かつて海運と造船で繁栄した街の名所をめぐります。

クレーン@浦賀ドック
Fig. 1 クレーン@浦賀ドック
▼ 延べ約1000隻の船を建造

 横浜駅から京浜急行電鉄本線に乗り、約1時間で浦賀駅に到着。駅を降り、真っ先に目に入るのが正面に建ち並ぶ大きなプレハブ群(Fig. 4、Fig. 5)。シンプルな形状とグレーの色合いが、無骨さを醸し出しています。

 浦賀で本格的に造船が始まったのは、1898年。榎本武揚の提言などで浦賀船渠が発足。その後、社名を住友重機械工業と変え、2003年に閉鎖されるまで、延べ約1000隻の船を建造しました。

 造船の象徴であるドックは現在非公開。代わりに巨大なクレーン(Fig. 1)が、往時の繁栄を今に伝えます。

愛宕丸@浦賀の渡し
Fig. 2 愛宕丸@浦賀の渡し

▼ 海の幅が狭く、波が穏やか

 浦賀港は海の幅が狭く、波が穏やかな半面、両岸を陸づたいに行き来するに時間がかかります。その不便さを解消したのが渡し船。

 運航は江戸時代に開始されたそう。朱色に塗られた愛宕丸(Fig. 2)が、東岸と西岸を往復します。

 所要時間はわずか3分。穏やかな凪の海面を滑るように、小さな船が風を切って進みます。

フィッシュバーガー
Fig. 3 フィッシュバーガー

▼ 爽やかなタルタルソース

 再び浦賀駅に戻ると、改札内のパン屋が開店していました。法塔ベーカリー(ホートーベーカリー)は、1924年創業。

 かつて横須賀市の学校給食にパンを提供していましたが、現在は浦賀駅と県立大学駅近くの2店で販売を続けています。朝食用に、フィッシュバーガー(240円)(Fig. 3)を購入。

 酸味が効き、爽やかなタルタルソースがかかる鱈のフライにかぶり付き、散策による空腹を満たします。造船所跡、渡し船、魚入りの惣菜パンと海にちなんだ名所を巡り、充実した時間を過ごす事ができました。

浦賀駅前
住友重機械工業浦賀工場跡地
Fig. 4 浦賀駅前
Fig. 5 住友重機械工業浦賀工場跡地

住友重機械工業浦賀工場跡地 横須賀市浦賀4-7
浦賀の渡し 横須賀市西浦賀1-1、046-841-1509
法塔ベーカリー 横須賀市浦賀1-86、046-837-1212


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