2020年3月下旬と4月下旬に、江戸川乱歩の名作、黒蜥蜴(くろとかげ)の舞台を訪ねました。
Fig. 1 静波橋@大阪市港区 |
▼ 舞台やテレビで多く公演
名探偵明智小五郎と女怪盗黒蜥蜴の対決が見どころのサスペンス小説。美輪明宏を始め、様々な俳優により舞台やテレビで演じられてきました。
前半は東京、後半は大阪がその舞台。作中ではアルファベットで表記されている地名を読み解きます。
大宝石商岩瀬庄兵衛が住む「南海電車沿線H町」は浜寺町(現堺市西区)でしょう。そして「大阪随一の大遊楽境T公園」は天王寺公園、「大阪市内盛り場S町」は心斎橋と思われます。
Fig. 2 浜寺公園駅ホーム |
▼ 昭和橋か、静波橋か
「大阪の川口S橋」は木津川にかかる西区の昭和橋か、天保山運河にかかる港区の静波(しずなみ)橋か。悩んだ末に両方とも訪れてみることにしました。
始めに訪れたのは、宮本輝「泥の河」の舞台にもなった昭和橋(Fig. 5)。水色の大きな半円状のアーチが美しく、欄干の文字も歴史を感じさせます。
川口というにはやや川上に位置しますが、埋め立て前はこの辺りが川口だったのかもしれません。続いて訪れた静波橋(Fig. 1)は、1985(昭和60)年竣工と新し過ぎました。
Fig. 3 浜寺公園駅旧駅舎 |
▼ 雰囲気は川口そのもの
それでも雰囲気は川口そのもので、ちょうど外海へと出ていく船が人質と宝石を積み、東京に向かう黒蜥蜴のものに見えました。
続いて訪れたのは、南海本線浜寺公園駅(Fig. 2)。1907(明治40)年築の旧駅舎(Fig. 3)は移設された後でしたが、ホーム上にある木造の待合室から十分に歴史を感じました。
Fig. 4 バラ園@浜寺公園 |
▼ かつてのリゾート地
ここには海水浴場や別荘が造られ、古くから関西のリゾート地として親しまれてきました。第二次世界大戦後、米軍の接収により一時的に衰退しますが、現在もプールやランニングコース、バラ園(Fig. 4)などを有する浜寺公園は、周辺住民の憩いの場として親しまれています。
諏訪ノ森駅までの線路沿いには歴史を感じさせる洋風建築(Fig. 6)もいくつか見られ、岩瀬庄兵衛の邸宅はこの辺りにあったのではないかと想像しながら散策を楽しみました。
Fig. 5 静波橋@大阪市西区
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Fig. 6 洋風建築@浜寺諏訪森町
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昭和橋 大阪市西区土佐堀2-3-15
静波橋 大阪市港区港晴2
浜寺公園駅旧駅舎 堺市西区浜寺公園町2-232
浜寺公園 堺市西区浜寺公園町