京浜電気鉄道の電力事業

 2018年2月中旬に、川崎市産業振興会館で開催された川崎区誌研究会2月例会の内容を以下に報告します。

▼ 演題 京浜電気鉄道の電力事業
▼ 講師 山中敏之さん
▼ 会場 川崎市産業振興会館10階会議室1
川崎市幸区堀川町66-20
▼ 日時 2018年2月17日(土)18:00~19:15

京浜急行電鉄1000形
Fig. 1 京浜急行電鉄1000形
▼ 大師の参拝客を運ぶ

 京浜電気鉄道(現京浜急行電鉄、以降京浜電鉄)は、川崎大師までの参詣客を運ぶ目的で、1899年に開業しました。一方、電力事業は、1887年に東京電燈が鹿鳴館に電燈を点灯して以降、急速に発展しました。

 京浜電鉄は、沿線の需要を見込み、まず東京府荏原郡大森町で電力の供給を始めました。発電所は、川崎市久根崎にあり、のちに東京電力港町変電所になりますが現存せず、跡地にはマンションが建てられました。

 発電の方式は石炭火力、出力は75 kwで、43戸、163灯の電燈に電力を供給。その後、機械の増設により出力を600 kwに増やし、12万灯の電灯に電力を供給しました。

京浜急行電鉄1500形
Fig. 2 京浜急行電鉄1500形
▼ 22年で幕を閉じる

 自前の発電所だけでは電力が足りず、桂川電力や東京電燈から受電を開始。1960年頃まで、火力よりも水力の方がコストが低く、石炭火力と他社からの受電で事業を続ける京浜電鉄は、次第に劣勢にたたされます。

 川崎運河の開削事業で多額の資金が必要になった京浜電鉄はついに、1923年、群馬電力に事業を売却します。全収入の約3割を占めるまでになった電力事業は、わずか22年で幕を閉じる事になりました。


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