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2020年4月中旬、グリコ・森永事件の現場を訪ねました。
大阪府守口市の大日(だいにち)駅で地下鉄谷町線から大阪モノレール(Fig. 4)に乗り換え、2駅で摂津市駅に到着。人通りの少ない高速道路脇の歩道を約5分歩くと、左側に摂津市役所が見えてきます。 食堂で安価で、量、味ともに満足のいく食事(Fig. 5)をとったのち、大正川を渡り、安威川(あいがわ)沿いを北東方向に歩きます。両側には満開を過ぎ、花びらの散る様子が美しい桜並木が続き、0系新幹線列車とEF15型電気機関車を静態保存する新幹線公園を右側に見ながら進みます。
やがて用水路を渡った左側に、グレーのトタンで造られた頑丈そうな建物が見えてきます。これが、1984年3月に誘拐後3日間、江崎勝久、江崎グリコ社長が監禁されていた安康樋(あんこうひ)水防倉庫(Fig. 1)。 現在は南京錠がかけられていますが、当時は施錠されていなかったのでしょうか。周囲には産業廃棄物業者の処分場が点在し、近くにはトラックが停車していました。
続いて訪れたのが、1984年6月に犯人が3億円の引き渡し場所に指定した焼肉の大同門摂津店。現在は餃子の王将摂津鳥飼店(Fig. 2)になっています。 犯人は、この店を現金受け渡しの待機場所に指定し、店の前に運搬用の車を用意させます。さらに淀川新橋(Fig. 3)近くの淀川河川敷にいたカップルを脅迫し、男に車を運転させますが、警察の仕込みでエンストし運搬に失敗。 時間が経っても運搬用の車が来ず、様子がおかしいことを察知したのか、犯人は男が所有していた車で逃走。寝屋川市の鞆呂岐(ともろぎ)神社の参道で車を乗り捨て姿を消します。 茨木市、摂津市、寝屋川市の現場を訪ね、発生から35年以上を経ても当時の状況を留めており、未解決のまま風化させてはいけないと強く感じました。
安康樋水防倉庫 茨木市宮島2-8−47 |