火野葦平と蛙@若松

 2016年6月下旬に福岡県北九州市を訪れました。博多駅からJR鹿児島本線快速に乗り約60分で折尾駅に到着、JR筑豊本線に乗り換えディーゼル車に揺られる事約15分で若松駅に到着しました。

石蛙@河伯洞
Fig. 1 石蛙@河伯洞

▼ 河童を愛した芥川賞作家

 駅の南側に広がる公園とマンション群はかつての操車場跡地を利用したもの。屋外に展示されているSL石炭車が、当時を偲ばせています。

 北西方向に約5分上り坂を歩くと芥川賞作家、火野葦平の旧居に着きます。一部に煉瓦を使用した10部屋もある立派な旧居は、1940年に作品の印税を元に建てられました。

 部屋を見学していると三男の玉井忠太郎さんが出てこられ、説明をして下さいました。部屋のあちこちにある河童は、葦平がこよなく愛した想像上の動物。

中表紙@首を売る店
Fig. 2 中表紙@首を売る店
▼ 中表紙に戦う蛙が登場

 子供の頃に父親から聞かされた河童が登場する童話を気に入ったのがきっかけだそう。旧居から西方向に徒歩約10分の高塔山がその舞台となっています。

 庭の中央に石製の蛙(Fig. 1)がおり、今では角が取れて丸くなっています。大きさは、幅約50 cm☓高さ50 cm☓奥行き50 cm。にやりと笑っているかのような口元が印象的な表情を目に焼き付け、旧居を後にしました。

 若松駅の東側に建つ若松市民会館内に火野葦平資料館があります。写真と作品を展示し、波乱に富んだ生涯を振り返ります。

 その中の「首を売る店」という作品の中表紙(Fig. 2)には葦平自らが画いた蛙が登場します。かたつむりと蛙が戦う様は、残酷な絵柄ながら動きがあり思わず見入ってしまいました。

 葦平は、河童だけでなく蛙も好きだったのではと思わせる旧居と資料館の訪問になりました。

外観@河伯洞
書斎@河伯洞
Fig. 3 外観@河伯洞
Fig. 4 書斎@河伯洞

河伯洞 北九州市若松区白山1-16-18
火野葦平資料館 北九州市若松区本町3-13-1


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