雨乞い蛙@川崎

 2016年3月中旬に、川崎市中原区にある市民ミュージアムを訪れました。展示品の中に、雨乞いの行事に使われた藁製の蛙を見つけたので、紹介します。

藁製の蛙
Fig. 1 藁製の蛙

▼ ガイドツアーで見どころを知る

 2階の常設展示品室には、時代別に川崎市の歴史を紹介する4種類のコーナーが設けられ、その導入としてかつて稲作を中心とした農業が盛んだった地域の生活を紹介する民俗のコーナーが設けられています。

 日曜日の午後に開催されるガイドツアーに参加し、展示の説明を聞きました。天井から藁でできた蛙(Fig. 1)、おたまじゃくし、雷と長さ約5 mの竜(Fig. 2)が天井から吊るされています。

 これらは、かつて雨乞いの行事に使われたもの。農作物の生育に欠かせない豊富な雨を祈る行事は、毎年8月に行われました。神奈川県伊勢原市にある大山阿夫利神社から、水をいただきます。

藁製の竜
Fig. 2 藁製の竜
▼ 蛙を背負い、多摩川まで歩く

 その後、約50 kmの道のりを歩き、水を運びます。届いた水と共に竜を複数人の大人が持ち、蛙、雷、おたまじゃくしを各々1人ずつ子供が背負って多摩川まで歩いたそうです。

 多摩川に着くと竜は入水し、泳ぐように上下に揺られます。田畑が減少し、1950年代には定期的に開催される事がなくなりました。

 展示されている藁製の動物は、中原区宮内で1980年代に昔の行事を再現した際に作られました。

 一見、亀のようにも見える大雑把に作られた蛙の造形を見ると、素朴な農村生活を思い浮かべる事ができます。

坐ることを拒否する椅子
市民ミュージアム
Fig. 3 坐ることを拒否する椅子
Fig. 4 市民ミュージアム

市民ミュージアム 川崎市中原区等々力1-2


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